先日の記事『説得力があり、選ばれる留学志望理由書の書き方』に関して、大変多くの方から問い合わせをいただきました。ありがとうございました。(上記の記事を読んでいない人は、先にお読みになった上で、以降の記事をご覧になってください)
さて、今回は、志望理由書を書く時のポイントである「留学の目標設定の仕方」についてお伝えします。
前回の記事では、留学志望理由書を書く時のポイントとして、
「実体験」
↓
「目標」
↓
「学問的視点」
↓
「将来像」
という流れを出しましょうという話をしました。
みなさんの志望理由書を添削していると上記の流れが非常によく書けているなぁと思いました。
ただ、惜しい点が、自分が本音をもっと出しても良いよってこと。
「将来は、グローバルに活躍できるビジネスマンになりたい」
「社会に貢献できる保育士になりたい」
「グローバルマインドを身につけた会計士になりたい」
みんな各々立派な目標ですが、もう一度、自分に問いかけて欲しいのが、「自分は本当にこれがしたいのか?」「自分が、興味があることは本当は何なのか?」ということです。
「審査員に良い印象が与えられそう」、「世間的にウケが良さそう」、「安定した収入が入る職だから」、「親が喜びそうだから」という理由でその目標をなんとなく選んでいませんか?
もちろん、収入は大事ですし、ご家族の意見を尊重することは大切です。
しかし、留学に行くのはみなさんです。
もっと自分を主人公にして考えて欲しいわけですね。
大切なことは、留学の目標設定をするのに、既成の概念の中から選ばないようにする、ということ。
いつも言ってることですが、自分のオリジナリティを出しましょう。
前回の記事で紹介した学生さんの志望理由書をもう一回見てみてください。
最初は、この学生さんが留学目標として設定していたことは、
「世界の中心であるアメリカの経営学について深く理解することで、グローバル化が進む日本やそれ以外の国でも十分通用するビジネス展開のノウハウが身につくと思います。」
いかにも、経営学部の学生が書く、"留学"志望理由書っぽいですよね。
でも、これでは受かりません。
自分がお金を払って行く留学なら何も問題ないでしょう。
でも、交換留学、派遣留学生に選ばれたり、トビタテ奨学金を始めとする、いわゆる給付型の奨学金を獲得するためには、これではまず選ばれないでしょう。
大事なことなので、何度も言いますが、当たり障りのない「留学志望理由書っぽいもの」を書くのではなく、「きちんとした留学志望理由書」を書いてください。
話が逸れましたが、そのためには、みなさんの人生を突き動かしてきた「源」が何かを考える必要があります。
上記の学生と面談をしていく中で、以下のような目標設定に変わってきました。
「小学生の頃に両親とともにおもちゃ屋さんに行った時、目に入ったものに衝撃を受けた。アメリカの人形がたくさん置かれていたのだが、どれも日本では見たことのない顔立ち・服装・形態でそのポップでユニークな風貌だった。それまで抱いていた、人形は可愛さを求められるという概念を覆された。
異文化でこんなにも子供の嗜好が違うのかと衝撃を覚えた。それから、国ごとのマーケティングの仕方や他国の商品のコンセプトに興味を持つようになり、将来は商品の販売戦略を立て、国内・海外の販売ルートを確保する仕事に携わりたいと思うようになった。」
最初の目標設定よりも、自分のオリジナル体験が盛り込まれていて、留学に行きたい動機がより明確になっています。
そして、何よりも、学生本人のワクワクした気持ちが表れていますよね。
おそらく、この学生さんは、「子供時代の人形との出会い」が、まさか留学に行きたい動機になるなんて思ってもみなかったはずです。これが、この学生さんの人生をここまで突き動かしてきた「源」です。
このように、まずは自分の気持ちと素直に向き合って、人生という大きな枠組みで考えた時に、一体自分は何に興味を持っているかを、もう一度よく考えて見ることです。
この自分の興味に留学をどう絡めることができるかが一番のポイントです。
自分が何をやりたいのかがよくわからない人は、以下の質問を自分に当てはめて考えてみてください。
「人には言えないけど、今まで一番自分が情熱を傾けてきた(傾けている)ものは?」
「人には言えないけど、自分が毎日5時間以上考えていることは?」
「人には言えないけど、将来やってみたいことは?」
さあ、もう気づきましたね。キーワードは、「人には言えないけど…」です。
人には言えないけど、自分はゲームオタク。
人には言えないけど、未だに少女漫画にはまっている。
人には言えないけど、実は宇宙飛行士になりたい。
人には言えないけど、私、人の気持ちが読めるんです。
などなど。
人には言えないけど、「自分は○○が好き/になりたい」
この○○には何が入りましたか?
「人には言えないけど、○○したい」というのは、裏返せば、「人の目を気にしなくて済むなら、○○したい」ということです。
ここにあなたの本当の気持ちが隠れています。
このあなたの本当の気持ちを表に出して欲しい。
これは、「今のみなさんを形作ってきたエネルギーの源」となっているものです。
いわば、このエネルギー源を大切にして欲しいのです。
なぜなら、それがあなたのオリジナリティとなり、審査員の心を揺さぶることができるからです。
先ほどの学生さんの例をもう一度思い出してみてください。
「人には言えないけど、私はお人形さんが好き」という内に秘めた人形への想いを持っていたのです。
でも、最初は「世界の中心のアメリカで経営学を学びたいん、なんちゃらかんちゃら…」という当たり障りのない表現を書いていました。
ところが、私とカウンセリングを続ける中で、自分の本当の気持ちと向き合ったのです。
その結果、上記のようなオリジナリティ溢れる目標設定ができたのです。
そして、そこから具体的な道筋が見えてきました。
このように、「人には言えないけど、○○したい」という気持ちの中には、みなさんの今まの人生の歴史が詰まっているのです。
これは、他の志願者にはない、みなさんだけの武器なのです。財産なのです。
この武器を最大限に活用しない手はないのです。
海外で英語力、グローバル力、異文化理解力を身につけて、将来の就職で有利になることだけがすべてでない。
そもそも、学問を学びに行くのに、最終地点が職を選ぶために行く、というのがおかしな話ですよね。

良い、志望理由書を書きたい人は、これらのことを踏まえもう一度考えてみてください。
前回の記事も必ず読んでください。
記事を読んでいる時間がない、すぐにも志望利理由書を仕上げなければいけない、という人は、志望理由書添削サービスをご利用ください。電話、スカイプなどでカウンセリンをしながら、より良い志望理由書に仕上げるコツをお伝えします。
たかが、留学志望理由書にここまでする必要はないのかもしれませんが、やはり書く以上は良いものを書いて欲しいし、留学志望理由書だけで合否が判定されるわけではありませんが、同じ語学力なら、私なら、留学志望理由書がよく書けている人を選びます。
そして、たとえ、試験に落ちたとしても、留学志望理由書を書く中で、自分の気持ちに整理がつき、留学の目標がより明確になるというメリットもあるでしょう。
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